【2017年版】日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン変更点はこれ!

2010年版の「男性型脱毛症診療ガイドライン」が発表されてから7年。あらたに2017年版が日本皮膚科学会から発表されましたが、いくつか追加、変更されています。

最近の薄毛治療は、男性だけでなく女性患者も増えていることから、女性に対しても多く言及されています。

とくに安全性が重視されており、薄毛治療の参考になるガイドラインではあるものの、だからといって、自己判断で個人輸入して治療しても安全というわけではないです。

あくまで、医師が処方するためのガイドライン。

薬剤ではない育毛剤の成分について、言及されていないのはさみしい限りですが、今回なにが変更されたのか、2010年版と比較してみました。

ガイドラインの根拠は?

臨床試験や比較試験などから公に発表された論文などをもとに、発毛に科学的根拠がある成分について評価されています。

医薬中央雑誌をメインに、策定委員が個人的に集めた論文も対象とし、根拠が十分でないものについては、比較試験や症例研究も参考にしているようです。

しかし、動物実験しかない基礎研究の段階にあるものは含まれていません。

つまり、十分な根拠がないもの、効果が曖昧なものは推奨度が低くなるため、とても参考になります。

推奨度の分類

【A】行うよう強く勧める

【B】行うよう勧める

【C1】行ってもよい

【C2】行わないほうがよい

【D】行うべきではない

参照元:2017年版 日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン

2010年版と2017年版の違い(今回の変更点)

参照元:2017年版 日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン

・デュタステリドのA評価の追加

・LED および低出力レーザー照射のB評価の追加

・アデノシンの外用をC1からBへ評価の格上げ

・かつらの着用のC1評価の追加

・ビマトプロストおよびラタノプロストの外用のC2評価の追加

・成長因子導入および細胞移植療法のC2評価の追加

・ミノキシジルの内服のD評価の追加

・C2評価だったセファランチンの削除

デュタステリドのA評価の追加

デュタステリドのA評価の追加

ザガーロの主成分であるデュタステリドが今回追加となっています。

2015年9月に厚生労働省よりAGA治療薬として認可されているので、ガイドラインに追加されるのは当然でしょう。

既存のAGA治療薬であったフィナステリド(商品名プロペシア)より、1.6倍の効果が確認されているため、同じA評価でもデュタステリドのほうが有用。

LED および低出力レーザー照射のB評価の追加

ヘアマックス-3

LEDおよび低出力レーザーの発毛効果は、男性型脱毛症を対象とした4 件の比較試験、女性型脱毛症を対象とした3件の比較試験で有用性が認められているので、B評価となったようです。

副作用が軽微な点もポイントですが、光源の種類や波長、出力により効果は様々。

ちなみに国内で認可されている機器はないため、薄毛治療に用いられる機器しだいということでしょう。

家庭で利用できるヘアマックスが有名ですが、以前から低出力レーザーを用いている発毛サロンは、これをよい機会と捉えアピール合戦が始まりそうですね。

とはいってもB評価なので、これをどう捉えるかは人それぞれです。

アデノシンの外用をC1からBへ評価の格上げ

アデノシン-32

アデノシンは資生堂のアデノゲンの主成分。女性には以前と同じC1の評価のままですが、男性にはB評価に格上げになっています。

その理由は、市販されているリアップX5プラスとの比較試験で差がなかったからだそうです。

0.75%アデノシン配合ローションと5%ミノキシジルローションを用いた,94 名の男性被験者を対象とした観察期間 6 カ月間のランダム化比較試験において,病変部の太毛率は両剤群で有意差なく,0.75%アデノシン配合ローションは男性型脱毛症の治療薬として市販されている 5%ミノキシジルローションと同等の有用性があることが示唆された

参照元:2017年版 日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン

しかし、女性に対しては十分な根拠が不足しているため、評価はC1のままのようです。

つまり、比較試験などのデータの数が少ないことから、評価は据え置き。結局のところ、評価を下す人しだいにも思えます。

また、1つの症例でしかないですが、0.75%アデノシン外用と5%ミノキシジル外用に差がないのは驚きのデータですね。

それだけ「アデノシンが有用なのか?」それとも「ミノキシジルのA評価が過剰な評価なのか?」もっとアデノシンの症例数が増えればハッキリするのでしょうが、現段階ではB評価なのでしょう。

かつらの着用のC1評価の追加

初めてかつらにも評価がつきましたね。脱毛症の治療ではないにもかかわらず、QOL(人生の幸福感)が向上し、副作用がないことから「行ってもよい」そうです。

もしかして、かつらメーカーの思惑もあるのでしょうか?そんな事には左右されていないと思いますが。

ビマトプロストおよびラタノプロストの外用のC2評価の追加

ビマトプロストは緑内障の眼圧降下目的で使用されており、類似のラタノプロストにまつげの発毛促進効果があることから、国内で市販されているそうでです。

男性型脱毛症にもラタノプロスト外用が有効なのか、検証されており、結果は約半分の人に有用性が確認されたそうです。

裏を返せば、「半分の人には全く効果なし!」ということにもなります。

比較試験は1例しかないので、副作用の観点からも薬剤である以上、十分な安全性が確認されていないのはマイナス評価となり、行わない方がよいC2評価なのでしょう。

成長因子導入および細胞移植療法のC2評価の追加

この「成長因子導入および細胞移植療法」は何を指しているのか、アバウトすぎて分かりにくいですが、おそらく育毛メソセラピーやハーグ療法、毛髪再生治療などのこと。

これらは頭皮にちょくせつ有効成分や細胞を注入する施術ですが、クリニックにより施術内容が異なるので、十分な検証がなされていないため、行わない方がよいC2評価になったのでしょう。

すべての施術が同一内容なら、検証もスムーズにいくのでしょうが、クリニックごとに違えば、その検証費用はクリニックごとの負担となるので、残念ですが今後もこの評価のままのように思います。

ミノキシジル内服のD評価の追加

ミノキシジル内服-21

ミノキシジルの内服は行うべきではないD評価。

2017年版で追加されたのは発毛効果を評価するものではなく、副作用の危険性を危惧されているから。

自己判断で個人輸入して服用することが問題視されているため、発毛効果とは別の話しで、警告の意味も含めての評価ですね。

十分に検証されていない点も指摘されていますが、ミノキシジル外用薬でも発毛効果があるのですから、内服してそれ以下になることはないでしょう。

AGA専門クリニックでは、ミノキシジル内服薬は普通に処方されており、高い発毛効果を示しているので、今さら十分な根拠がないといっても…ですね。

ただ、海外では重篤な副作用が多数報告されているので、公に推奨するわけにいかないのも事実。実際にどこの国でもAGA治療薬として認可されていないので、医師の指導下で利用しましょう。

C2評価だったセファランチンの削除

2010年版でも、用いない方がよいC2評価だったセファランチンですが、その後セファランチン外用の有効性は検証されていないのでしょう。

もともと症例報告は1例のみで、それもフィナステリドとミノキシジル外用薬を併用しての検証なので、そもそもセファランチン自体の効果なのか、はっきりしない症例。

曖昧な点が多いセファランチンは、薬用プランテルなどの育毛剤にも含まれていますが、セファランチンを注目の育毛成分としてアピールしている育毛剤はほとんどみられないため、あえて取り上げる意味がないので、削除したのでしょう。

男性型脱毛症に対するセファランチン外用の有効性を検証した報告は,国内からの症例報告 1 例のみである.それによると,1% フィナステリドを内服し,5% ミノキシジルを外用中の 46 歳男性の男性型脱毛症患者に,セファランチン外用を併用したところ,約 4 カ月後に前頭部毛髪の増毛効果が認められた1).現在のところ女性に対する効果は検討されていない

参照元:2010年版 日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン

育毛剤などの成分に言及がないのは?

医薬部外品の育毛剤などに含まれる自然由来成分の言及がないのは、そもそも薬剤ではないので安全性には問題ないですし、症例数もないので取りあげていないのでしょう。

つまり、薄毛治療のために医師が処方するためのガイドラインに取り上げても仕方がないということ。利用したいなら「どうぞ!」という程度。

最後に!

「男性型脱毛症診療ガイドライン」ですから、まずは安全性がいちばん重要。

とはいっても全く副作用が生じないものはないですから、副作用の発生頻度が10%未満なら安全という判断なのでしょう。

利用している人が多かったり話題となっていたりする成分で、安全性が確認されていない成分に関しては、あえて取りあげ、注意喚起する意味で評価を下げている傾向。

その次に評価されるのが発毛効果。症例数が少なかったり効果が半々だったりすると評価されない。この点においては納得です。

どちらにしても、薄毛治療のための比較試験や症例数が少ないのが大きな欠点ですね。

最先端の毛髪再生治療でも、「行わないほうがいい」C2評価。比較試験を行えば多額の費用が生じるのも一因なのでしょうが、今後もっと進んだ治療法が確立されることを望みたいですね。

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【大島義行】
薄毛を感じ始めてもうすでに10年以上。PDCAサイクルを回しながら髪に良いことをいろいろ試してきました。その結果、今があるので、薄毛は諦めないことが「大切」を痛感しています。コンプレックスは、過去の行動が生み出しているにすぎないので、可能な限り育毛経験をシェアします!